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1999年08月22日

日本株デイ・トレーダーの出現

米国では株の売買で大損をしたデイ・トレーダー(インターネット上で株式の短期(一日)売買を繰り返す個人投資家の事。英語では中長期的な観点から株を売買する「投資家(investors)」とはハッキリと区別され、「トレーダー(trader)」と呼ばれている点に注意されたい。)が、証券会社に乱入し、銃を乱射し職員を殺傷したり、全米に存在するデイ・トレーダーの75%は資産の全てを損失しており、全体のわずか15%だけが利益を挙げている、等の調査が報告される等、悪い意味で注目を浴びている。

米国でのデイ・トレーダー出現の背景は、1) ブラック・マンデーの時の悪い記憶の忘却 2) 米国株式市場の活況、そして最後に 3) 個人投資家がインターネットを通して機関投資家並の株式売買設備や環境を享受可能になった、点が挙げられよう。

興味深いのは日本でもこれらの3つの環境が揃いつつある点である。特に米国においてもデイ・トレーダー出現の過程において、日本でも1999年10月以降、かなりの確立で実現されるであろう、3)の背景は最も重要な役割を果したはずである。

米国でもデイ・トレーディングのギャンブル性の高さを指摘する声は強く、実際に、無知で怖いもの知らずなデイ・トレーダーにとってはギャンブル以外の何物でもない。ただ、しっかりと経済や金融の知識と理論を勉強した分別のつく個人にとっては、市場で機関投資家と伍して組み、利益を挙げ得る時代が既に到来しており、必ずしもデイ・トレーディングがギャンブルとは断定できなくなっているのではないだかろうか?

金融をかじった人であれば、株価が常に上がり続けなくとも、ショート・ポジション(空売り)を張れば理論上、株価が下がる局面でも利益は稼げる事ぐらいは知っているはずである。

まだ日本にはデイ・トレーダー向けのサービスを行おうとする証券会社や情報提供サービス会社は出現してないようであるが、日本でもデイ・トレーダーが出現し、将来、職業として定着する可能性も高いのではないだろうか?やがては、デイ・トレーダー出身のマネージャーが運用するファンドも出現するかもしれない。

資産を全て失ったデイ・トレーダーが75%もいる事よりも、マネーゲームを勝ち残っているデイ・トレーダーが15%もいる事に妙に感心してしまったのは、筆者だけであろうか?

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