オフショア金融センタ-を活用した個人資産運用・防衛法 ⑧

Posted on Jun 11, 2001

オフショア金融センタ-を活用した個人資産運用・防衛法 ⑧
                     ファイナンシャル・プランナ- 落 義門

 今回はオフショア・ファンドについてお話致します。

★オフショア・ファンド(Offshore Fund)★
 ファンドとは投資信託のことです。投資信託の定義は、たくさんの投資家から集められたお金をひとつにまとめ 運用の専門家である投資信託会社が株式や債券など、金融・証券市場で運用し その成果を分配金として投資家に還元します。運用の基本は分散投資でいくつかの市場、あるいはひとつの市場でも複数の銘柄や通貨に分散して投資.危険を分散させることでリスクを押さえながら、収益を狙う投資商品です。

オフショア・ファンドとは、オフショア金融センターで制定されたそれぞれの法体系のもとに設立・運営される公募型投資信託商品です。グローバルマーケットを対象とした投資商品で世界の投資家向けに広く販売されています。我々日本人も国内の金融機関を通すことなく、直接オフショア・ファンドを購入できます。オフショア・ファンドの最大の魅力は、ファンドから得られる配当金や売却益に対して現地では税金が課せられない点です。そして運用手法に規制が少ないオフショア金融センターでは、年平均利回り20~30%の好成績を上げているオフショア・ファンドが、たくさん存在しているということです。

 現在、オフショア・ファンドは世界に15,000本以上あると言われています。オフショア・ファンドの代表的評価・格付け機関であるスタンダード・アンド・プアーズ・マイクロパル社(米国格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ社のグループ会社)は、2000年4月時点で、世界のオフショア・ファンドの約半分にあたる7,620本のオフショア・ファンドをリストアップし、評価・格付けしています。同社が1991年にリストアップしたオフショア・ファンドが2,000本でしたので9年間でその数は実に280 パーセントも増えた計算になります。運用資産額においては、100万米ドル以下のオフショア・ファンドから130億米ドルを超えるものも有り様々です。

スタンダード・アンド・プアーズ・マイクロパル社のファンド検索ページ……http://www.funds-sp.com/win/en/

 星の数ほどあるオフショア・ファンドですが、オフショア・ファンド投資運用会社が提供するオフショア・ファンドの商品構成は 大きく分けて4つのタイプがあります。以下はマイクロパル社による分類です。

1.エクィティ・ファンド(Equity Funds)
キャピタルゲイン(売却益)を狙った株式を投資対象とします。

2.インカム・ファンド(Income Funds)
インカムゲイン(利子・配当)を期待した債券に投資します。ただし、配当による定期安定収入を目的としたエクィティ・ファンドは、インカム・ファンドに分類されます。

3. アセット・アロケーション・ファンド(Asset Allocation Funds)バランスト・ファンド(Balanced Funds)とかミックスト・ファンド(Mixed Funds) とも呼ばれ、株式と債券を組み合わせた投資を行ないます。なお、株式組み入れ比率に限度が設けてあります。

4. マネー・マーケット・ファンド(Money Market Funds)
コマーシャルペーパーや譲渡性預金などの短期金融市場で運用します。

 上記以外に先物、オプション、スワップなどの金融派生商品に投資するデリバティブ・ファンド (Derivative Funds)や転換株式・転換社債などに投資するコンバーティブル・ファンド(Convertible Funds)、ワラント債を投資対象としたワラント・ファンド(Warrants Funds) 等の分類があります。

 運用手法に関しては、伝統的な株式や債券の買持ち手法である従来型のトラデイショナル・インベストメント(Traditional Investments)に対してオールターナテイブ・インベストメント(Alternative Investments) と呼ばれる市場相関性が低い運用方法があります。オールターナテイブ・インベストメントとは、デリバティブの活用や空売りや金利裁定の手法を駆使して、伝統的金融市場が上げ相場でも下げ相場でも、利益を確保する運用戦略をとるものです。

 数あるオフショア・ファンドを活用して自分だけのポートフォリオを作って国際分散資産運用を単独で行なうには、それなりの勉強と研究が必要です。しかもかなりの時間を割かなくてなりません。そのような投資家の為にオフショア・ファンド投資運用会社はポートフォリオ・マネジメント・サービス(Portfolio Management Service)のサービスを提供しています。これは、ファンド・オブ・ファンズ(Fund of Funds) と呼ばれるファンドで形成されるポートフォリオを投資運用会社が設定し、経済環境の変化に合わせてマーケットへの資産配分を自動的に行なうもので 投資運用会社に資産運用を一任する方法です。

次回は、オフショア資産運用と為替リスクについてのお話です。



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