ロシアに投資する?

Posted on Jan 5, 2003

1990年代、共産圏での資本主義経済の進展は、先進国を巻き込み、世界経済の大きな流れを作り出している。中国の経済開放は、その安い労働力を武器に、日本の製造業に大きな打撃を与え、深刻な長引く不況の一因になっている。一方で、上海では、短期間に高層ビルが立ち並び、急激な経済成長を達成し、このトレンドはしばらく替わりそうにもない。

しかし、海外投資を考えた場合、もう一つの大国ロシアを見逃すことはできない。西側諸国の一因であった日本にとって、北方5島を境に、地理的に近くても、あまりよく知られておらず、ある意味で、最も遠い国の一つと言える。今、このロシア経済も中国と同じく、資本主義の導入により、劇的に変化し、急速に発展する経済の一つであるのは、間違いがない。

ほとんど知られていないが、ロシアの経済成長に投資することができる。オフショアのファンドの中には、ロシアに特化して投資し、ファンド概要を開示しているファンドが30以上ある。規模や運営方針は様々であるが、すべて米ドル建てのファンドである。驚くべきことに、この1年、これらのファンドの収益はすべてプラスで22%から88%という数字である。この3年の収益は20%から470%で、すべてのファンドの平均が200%以上になる。

先進国の株式相場がさえない中、これらのパフォーマンスは異常にも見えるが、社会主義・共産主義での資本の自由化が、これらの地域の経済を劇的に変えていると考えれば、納得できるのではないであろうか。それは、あたかも戦後の日本の急速な回復のようである。

しかし、投資先として、ロシアに特化したファンドを考えた場合、知らなければいけない事、注意しなければいけないことがあるだろう。大きく分けてロシア経済の現状と、ファンドの選択である。

ロシア経済の現状
発展途上国に投資する場合、政治体制の変化や、国の財政状況、などに特に注意を払う必要がある。ロシア経済は、1992年に市場経済へ移行し始めた。社会主義時代のロシアから、急速な資本主義原理の導入は、社会経済に大きな歪を作り、1998年8月17日危機を引き起こす。しかしこれは、ロシア固有の問題と言うよりも、97年に始まったアジアでの危機から99年に起こるブラジルでの金融危機まで、一連の現象の一つとして捉えるべきであり、経済のグローバル化を示している。発展途上国が、急速な市場経済化にさらされて、それまでの社会・経済に歪をもたらし、一時的な生産の低下や急速に拡大する財政債務などを引き金に、債務不履行が起きている。

98年の8月危機がおきた背景を簡単に解説すると、以下の4点に要約できるだろう。
1、 1500億ドルに及ぶ巨額の対外債務と慢性的財政赤字
2、 急激な市場経済化に伴うハイパーインフレと生産低下
3、 97年以降のアジアの経済危機による、原油・資源価格の低迷
4、 ルーブル高政策による、国内製造業の疲弊

このような背景を元に、1998年8月17日、ロシア政府はルーブルの対ドル交換レートの実質的切り下げを含め、民間銀行の対外支払いの90日間停止、短期国債の払い戻し停止という決定を行った。10月にプリマコフ政府は、危機対策プログラムを発表し、現在まで、比較的順調な回復過程にある。

2000年に入り、GDPは9%の伸びを記録し、ルーブルも安定し、インフレ・金利も落ち着いた動きになっている。経常収支も大幅な黒字になり、財政赤字も、GDPの半分程度まで下がってきている。
参考:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/russia/keizai.html

投資環境としては、現在のロシアの経済は安定化しており、且つ、先進諸国に比較して高い成長性が期待できる。








<<ニュースの見出しに戻る

Top Page

Copyright© 2001, J. K. Wilton & Company.
For further information contact webmaster@jkwilton.com