プライベート・バンカーの長所

Posted on Nov 22, 2004

かなり肌寒い天候になってきました。会員皆様方はいかがお過ごしでしょうか?

 今回も引き続きプライベート・バンカーについてのお話です。「プライベート・バンカー」
についてのお話は来週でひとまず終了となりますのでご了承ください。

 前回は具体的にどんな「プライベート・バンカー」がスイスにはあるのかについて解説をし
ました。スイスの「プライベート・バンカー」についての知識も深まってきたと思います。

 今回はプライベート・バンカーの長所について触れたいと思います。

■■■■■■■■プライベート・バンカーである長所■■■■■■■■

 以前「プライベート・バンカー」が「自然人(一個人)」としての自由度と法人としての信
頼と安全性を兼ね備えている銀行である、と一言で表現しましたが、それは具体的にはどんな
長所が上げられるのでしょうか?

 代表的な点は以下の通りです。

<独立性>
 まずプライベート・バンカーは「独立性」を重視しています。

 これは資本的に完全に独立し、親会社や株主からの呪縛から解き放たれている事を意味して
います。

 つまり、プライベート・バンカーは顧客のためのみに活動を行なっているのであり、単に収
益を得るために、または、もろもろの利益を受けるために資本を提供している「銀行の所有者」
に経営の自由を、妨げられない事を意味しています。

<アントレプレナー・シップ>
 プライベート・バンカーはアントレプレナー・シップを大切にします。これは、顧客の多く
が個人富裕層である事が強く影響をしているでしょう。

 彼らの顧客の多くは、事業を自ら立ち上げて成功をしている企業家、またはその子孫である
からです。多くの企業家はアントレプレナー・シップを大切にしますし、当然銀行にもアント
レプレナー・シップを持った対応を期待するからです。

<コミットメント>
 プライベート・バンカーの頭取は個人的な出資を行って顧客に仕えます。そして顧客に業務
上の過失から損失を与えてしまった場合には、出資した金額を超えて個人の資産を投げ打って
それを償わなければなりません。

 いい加減な経営をする事は、顧客のためにも自身のためにも許され無いのです。

<先進性>
 「伝統」があると言う言葉からは全く逆のイメージに感じるかもしれません。しかし彼らは
長い伝統を持ちながらも「保守的」な面とは全く対峙する特徴も持ちあわせています。

 例えばジュネーブの代表的なプライベート・バンカーである「ボーディエ」はここ近年年金
等の機関投資家が、積極的に投資を始めている「ヘッジファンド」には、数十年前も以前に先
便をつけていた点はあまり知られていない事実なのです。

 この話は次回に触れたいと思います。

■■■■■■■プライベート・バンカーが避けようとする事■■■■■■■■

 プライベート・バンカーは以下の点には陥らないように留意をしています。
 
<官僚的>
 例え組織が大きくなったとしてもプライベート・バンカーは官僚的な対応は避ける傾向があ
ります。

<統一性>
 個人の顧客は多種多様なニーズを持っており、画一的なサービスを行なう事はしません。あ
くまでも個別のサービスを提供する事が原点と考える傾向があります。
 
<顔の見えないサービス>
 プライベート・バンカーは紹介者がいない場合には、口座開設をする顧客に必ず直接会って
本人を確認しながら手続きを行います。また紹介者がいた場合は口座開設後に必ず担当者が顧
客に直接会って確認をするのが通常です。

 これは本人の確認を行なうといった単純な作業の一環ではなく、「顧客を良く知る」という
観点から行なっている作業なのです。

 顧客の立場から見ると、必ず銀行の担当者と会って話すことによって面識を持つ事が出来ま
す。顧客が「銀行の担当者の名前だけ知っている」ということはありえないのです。

 スイス、特にジュネーブのプライベート・バンカーの起源が、中世の欧州における宗教弾圧
にまで遡り、その多くが裕福な宗教的な難民で会った事は200年以上も経った現在においても
その経営哲学に大きな影響を与えているのです。

 次回は、プライベート・バンカーと古参ヘッジファンドとの意外な関係についてです。◆

■■■■■■■■<ご注意>■■■■■■■■

 登録会員の皆様は、本メールマガジンで提供される情報を会員皆様自身のためにのみご利用
するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること複写もしくは加工し
たものを第三者に譲渡または使用させることはできません。本情報の内容については万全を期
しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報によって生じ
たいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。

 本メールに掲載されている事項は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであ
り、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身の判断
でお願いします。



<<ニュースの見出しに戻る

Top Page

Copyright© 2001, J. K. Wilton & Company.
For further information contact webmaster@jkwilton.com