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サーティファイド・ファイナンシャル・プランナ−(CFP) 落 義門

2000年12月01日

オフショア金融センタ−を活用した個人資産運用・防衛法 I

<始めに>

人生はまるで港を目指しながら 果てしない海を航行する船旅のようなものです。太陽の陽を浴びながら 穏やかな海を進む日も有れば、雨に降られ、風に吹かれ、時には暴風雨に巻き込まれ 沈没しそうな目に会う日も有ります。振り返れば日本の20世紀最後の10年は暴風雨の連続体験でした。それまでは、巨大な空母の日本国丸、駆逐艦の企業丸に乗っているだけで私達は守ってもらえました。悪天候の時でも 私達は安心して航行することが出来ました。

しかし現在は、少子高齢化、なし崩し的な年金制度の崩壊、リストラなど多くの不安な社会環境のなかで自分の事は自分で守る「自己防御」、自分で責任を取る「自己責任」が当たり前のように言われ始め、もはや巨大な日本国丸や企業丸に乗っているわけにいかず 個人丸に乗り換えなければならない厳しい時代に突入しています。

今まで私達が持っていた価値及び責任に対する考え方が「国家→企業→個人」へと移行していくなかで、日本版ビッグバンの第一弾として1998年4月に改正外為法が施行され、2年半以上が経ちました。海外への送金、海外にある金融機関の口座開設が自由に行え、地球上の様々な金融市場の円建て・外貨建て預金、外国株、外国債、海外投資信託等、多種多様な海外関連金融商品を直接利用・売買できる時代です。

世界には『租税制度が無い、あってもその負担が著しく低い』オフショア金融センタ−(海外金融市場)と呼ばれる所が存在します。日本人には余り馴染みのない世界ですが、税制上の優遇措置ばかりでなく、自由闊達な資金運用が出来、日本国内では紹介されていない様々な金融商品が揃っており、日本の資産運用担当者が見たら卒倒してしまいそうな高利回りのファンドが数多くあります。又、プライバシ−の保護が徹底しています。日本に居ながら誰でもオフショアを利用することができますが、先ず投資家自身の発想の転換とリスクの認識が必要と言えます。

誰しも老後は豊かに平穏に暮したいと思っています。21世紀の時代を生き抜くための資産運用を行う前に 先ずすべき事はStrategy(戦略)を立てる事です。大海原を航海しながら どの港に寄港し 最終的に自分の目標である豊かな生活が営める島に到達する為の戦略です。戦略を遂行するにあたって、先ず個人丸を操縦する為の知識と技術が必要です。次に早く進む大きい波、ゆっくり進む小さな波、潮の流れ、風向き、雨量、暴風雨についての情報を手に入れます。そして手に入った情報を基にどのルートを選んだら良いか判断します。同様に資産運用にはキット(KIT)が必要です。

キットとは、一般に道具一式、装具、装備と訳されますが、ここで言う資産運用キットとは、KはKnowledge(知識)、IはInformation(情報)、TはTactics(戦術)を意味します。知識を習得し、情報を得て、個人がそれぞれに数々の戦術を駆使する資産の運用・防衛にはこの3つの装備が必要不可欠となります。

21世紀における個人資産運用・防衛の為に活用するオフショア金融センタ−について、並びに個人投資家に必要なKITの知識と情報についてこれから数回に分けてお話していきます。

第1回目は、世界の常識が通用しない日本国内での不利な外貨預金取引について解説します。

<世界の常識が通用しない日本国内での不利な外貨預金>

円の長期にわたる超低金利のもとで 少しでも高い金利を得ようと 日本国内で営業している外国銀行や日本の銀行に外貨預金をする人たちが増えてきていますが、日本国内で外貨預金をするのは決して有利とは言えません。何故なら、日本国内における各通貨の外貨預金の利率を世界の金利水準と比較しますと異常に低く競争力がないからです。

例えば、日本の近隣諸国で国際金融センタ−として地位を確立している香港、シンガポールには、世界の金利水準を預金金利に反映し利益をもたらす数多くの銀行が存在します。下記の表は平成12年11月24日付けの日本国内で営業しているある都市銀行(仮にA銀行とします)のUSドル預金金利とシンガポ−ルオフショア金融センタ−で営業しているシンガポ−ルの四大銀行のひとつ(仮にB銀行とします)のUSドル預金金利を比較した利率表です。尚、国際有力格付け機関ム−ディ−ズよる信用評価では、現在の A銀行の預金格付けはA3, 財務格付けE+、B銀行の預金格付けはAa3, 財務格付けBです。

金融機関 普通預金店頭金利
(税引き前)
定期預金店頭金利(税引き前)
1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
国内都市銀行 A銀行 1.00% 4.3382% 4.4269% 4.3635% 4.3635%
シンガポール 4大銀行B銀行 5.5% 6.0625% 6.25% 6.2188% 6.1875%

A銀行のUSドル定期預金金利は10万ドル相当額(1100万円)未満で税引き前の年利率。10万ドル相当額(1100万円)以上はそれぞれ1%上乗せ。【利息には20%の源泉徴収あり】

B銀行のUSドル定期預金金利は5000ドル(55万円)以上5万ドル(550万円)未満、5万ドル(550万円)以上は交渉で金利上乗せ可能。USドル普通預金金利は最低預け入れ金額 5000ドル(55万円)。【シンガポール非居住者は、現地の源泉徴収は無し】

さて、両行のUSドル利率表を比較して感想は如何でしょうか? まず1ヶ月定期預金は約2.3%, 3・6・12ヶ月定期預金は約1.8%の差があります。普通預金にいたっては何と4.5%の差があります。しかも最低預入金額にも大きな差があります。仮に5万ドルを A銀行の1年ドル定期預金(20%源泉徴収)をすると, B銀行で1年ドル定期預金(無税)をしたケースよりも、約1350ドル, つまり、15万円ほど利息が少なくなります。この例のようにオフショア金融センタ−の世界には、日本の金融機関より信頼度が高く、しかも競争力がある金融機関が数多く存在することをまずは理解して下さい。今後、回を追う毎にオフショア金融センタ−の優位性ついて詳しく説明していく予定です。◆

次回はオフショアとは何か、オフショアの由来についての話です。

オフショア金融センタ−を活用した個人資産運用・防衛法 (2)

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